衝撃事件の核心 教え子わいせつ動画所持 「探究深めたい」中学校長の背徳
産経新聞 2023/9/18(月) 18:30配信
元教え子のわいせつ動画を所持していたとして中学校の校長が警視庁に逮捕された。「まじめでわかりやすい理科教師」と評価され、生徒からも信頼されていたというが、複数の生徒にわいせつ行為をしていた疑いも浮上している。教員による子供への性暴力が問題視され、法改正されてもなお、後を絶たない。
■生徒のわいせつ動画
警視庁は今月10日、元勤務先の女子中学生のわいせつ画像を所持していた児童買春・ポルノ禁止法違反の疑いで、東京都の練馬区立三原台中学校長、北村比左嘉(ひさよし)容疑者(55)を逮捕した。
事件が明らかになったのは昨年11月。教育現場での児童・生徒への性被害の相談を受け付ける都教委の第三者相談窓口に元教え子の女性から被害相談があり発覚した。練馬区教委などは今年7月に警視庁練馬署へ情報提供、警視庁は今月10日に学校へ家宅捜索を行い、同日夜、北村容疑者を逮捕した。
犯行があったとみられるのは校長着任前の学校の教諭時代だ。校長室の机から発見されたビデオカメラには当時の教え子の下半身を触る動画が収められていた。
北村容疑者は警視庁の調べに動画の所持や生徒を撮影したことを認め、「後で見ることがあると思った」と供述。複数の生徒が被害に遭ったとみられ、警視庁は調べを進めている。
■「探究を深めたい」
北村容疑者は東京学芸大卒業後の平成4年、都教育委員会に採用。中学校の理科教諭としてキャリアを重ねてきた。
教員としての北村容疑者について、練馬区教育委員会の幹部は「そつがなく話をし、文章を書くのにたけていた。子供たちにわかりやすく話すのが優れていた」と評す。
約10年前に受けた教育関連誌のインタビューでは「先生方が熱心に教材を研究していたり、子供たちを想う姿をみて、心を打たれました。探究を深める指導をするなら中学校と思い、中学校教諭を選びました」と教員を志した動機を明かしていた。
授業で日用品を使って実験するなど、生徒に理科への関心を喚起させる工夫について熱弁を振るっていた。平成31年4月からは現在の勤務校の校長を務めている。
■空き教室での犯行
昨年4月に「教員による児童生徒への性暴力防止法」が施行されたが、学校現場での対策は緒についたばかりだ。さまざまな対策が求められているが、なかでも「空き教室」の対策は急務だ。
捜査関係者によると、今回の事件の現場となったのは校内の理科室だった。教育現場の性被害に詳しい千葉大大学院の後藤弘子教授は理科室のような特別教室は「児童、生徒にとって行きやすいが、人の目は届きづらく、物理的な死角になる」と指摘する。
過去にも同様の事件が起きている。
後藤氏は対策として、特別教室をはじめとした空き教室の施錠や、管理職などによる見回りの徹底が不可欠と強調する。
後藤氏は「子供たちを性被害から守るのは教員や保護者など大人の役割。教員の養成課程や教委の研修が機能しているか検証するなど、性犯罪防止のために知恵をしぼるべきだ」と話している。(内田優作)